-
地政学リスクのノイズと新たなコモディティサイクル:金相場の現在地と長期の巨大トレンド
投稿日 2026年5月28日 16:28:36 (Market Hack)
-
逆風の高級品市場で動く巨象――LVMHの多角化戦略とアルノー氏の支配権強化の深層
投稿日 2026年7月3日 00:00:54 (Market Hack)
-
ベルナール・アルノーの静かなる攻勢と、LVMHが仕掛ける「体験」への大いなる転換
投稿日 2026年6月30日 18:30:16 (Market Hack)
-
Arm株急騰の深層:エージェンティックAI時代に不可欠な「非GPUコンパウンダー」への飛躍
投稿日 2026年6月16日 13:34:38 (Market Hack)
-
インテル(INTC)の再起と死角:AI需要の波に乗る一方、内部者は何を売るのか
投稿日 2026年6月15日 16:52:07 (Market Hack)
-
AIブームの裏道:アップラビンの熱狂から読み解く、100ドル未満で「Anthropic」に投資する秘策
投稿日 2026年5月17日 19:13:17 (Market Hack)
-
地政学リスクを嘲笑う米AI相場と、幻の「8000」に散った韓国KOSPIの現実
投稿日 2026年5月12日 12:35:35 (Market Hack)
-
AIバブルの光と影:肥大化するインフラ投資の限界と、なお続く巨額調達の熱狂
投稿日 2026年5月8日 14:14:32 (Market Hack)
-
AI時代の心臓部を担うArm:2026年度決算が裏付ける市場の熱狂と圧倒的支配力
投稿日 2026年5月7日 16:27:42 (Market Hack)
-
どん底からの逆襲:インテル株が魅せた55年目の「狂乱」と、AI覇権の新たなフェーズ
投稿日 2026年5月1日 20:33:08 (Market Hack)
-
ラブブ特需の終焉か。ポップマートを襲う株価急落と海外市場の急ブレーキ
投稿日 2026年4月30日 22:40:59 (Market Hack)
-
遥かなる9.5兆ドル企業への道:メタのAI覇権を賭けた「ムーンショット」と狂気の報酬プログラム
投稿日 2026年4月29日 23:39:31 (Market Hack)
-
経営再建の正念場に立つ日産:国内市場の深刻な顧客離れと、次期「GT-R」に託すブランド復活への青写真
投稿日 2026年4月21日 18:58:41 (Market Hack)
-
米ロビンフッド、予測市場事業を拡大へ:インサイダーリスク懸念で一部契約は制限
投稿日 2026年4月13日 16:36:07 (Market Hack)
-
攻勢強める中国本土と苦戦する日本市場――BYDが直面する二つの現実
投稿日 2026年2月16日 16:57:08 (Market Hack)
-
2028年、AI市場の勢力図は激変するか:アマゾンとアルファベットの逆襲、そしてマイクロソフトの挑戦
投稿日 2026年1月27日 18:09:18 (Market Hack)
-
オラクル、TikTok米国事業の権益確保で株価上昇も、巨額AI投資による「債務の山」に警戒感
投稿日 2026年1月27日 16:22:58 (Market Hack)
-
ビットコイン、感謝祭に反発も「強気への罠」か?トム・リー氏が予測下方修正、ETF投資家は含み損の境界線
投稿日 2025年11月27日 21:56:05 (Market Hack)
-
米国株は利下げ期待で3日続伸、モルガンSは来年のS&P500種16%上昇を予測
投稿日 2025年11月26日 19:40:54 (Market Hack)
-
アジア株式市場:韓国KOSPI急落、日経平均は反発後に失速
投稿日 2025年11月14日 21:48:27 (Market Hack)
-
テスラ第3四半期決算、増収減益も株価下落 マスクCEO、EV需要の言及避け未来構想を強調
投稿日 2025年10月23日 12:51:55 (Market Hack)
-
中国市場、連休明け活況 ─ 株価続伸、金(ゴールド)価格高騰の主役にも
投稿日 2025年10月22日 17:35:30 (Market Hack)
-
米国株式市場=S&P最高値、関税懸念による下落から回復
投稿日 2025年10月21日 19:56:44 (Market Hack)
-
インテル、次世代チップ「Panther Lake」で再起へ 戦略的転換の行方
投稿日 2025年10月8日 16:20:01 (Market Hack)
-
海外不動産投資のリアル:個人の挑戦と世界市場の大きな潮流
投稿日 2025年10月8日 13:14:29 (Market Hack)
-
サウジアラビア政府系ファンド、EAを550億ドルで買収へ 巨大投資の背景にある国家戦略
投稿日 2025年10月1日 00:35:57 (Market Hack)
-
QuantWare社、イタリアの大学に64量子ビットプロセッサを納入 同国最大の量子コンピュータを実現
投稿日 2025年10月1日 00:27:48 (Market Hack)
-
旧日本軍のコスプレ ナチズムの復活は歴史の観点からすれば驚くに値しない
投稿日 2023年12月27日 02:09:42 (Market Hack)
-
中国最大のデータ・センター、トゥエンティワン・ヴァイアネットがナスダックにIPO
投稿日 2023年12月27日 02:06:26 (Market Hack)
-
イヤイヤながらFRBが債券買い入れプログラムの足抜きをしなければいけない理由
投稿日 2023年12月27日 02:04:58 (Market Hack)
-
これでもか!これでもか!という「拡張現実(AR)責め」にウレシイ悲鳴を上げるシカゴの住人
投稿日 2023年12月27日 02:03:21 (Market Hack)
米軍によるイランへの新たな攻撃が報じられた木曜日、金相場は一時3月26日以来となる2カ月ぶりの安値水準へ売り込まれた。グリニッジ標準時06時11分時点の金現物は1.8%安の1オンス=4,375.78ドルまで下落し、6月限の米金先物も1.6%安の4,373.90ドルを付けている。銀が2.6%安の72.70ドル、プラチナが1.7%安の1,884.83ドルとそれぞれ1カ月ぶりの安値を記録し、パラジウムも2%安の1,362.70ドルへと沈むなど、貴金属セクター全体が息を潜める展開となった。
この短期的な下落の背景にあるのは、くすぶり続けるインフレ懸念とそれに伴う金利見通しの不透明感だ。原油価格の上昇とドルの逃避買いが相場の重しとなっている。StoneXのシニアアナリスト、マット・シンプソンが指摘するように、中東の和平交渉を巡る度重なる「空振り」に市場は疲弊しており、結果としてドルの底堅さが維持され、金は圧迫されやすい環境にある。金は伝統的なインフレヘッジ資産だが、原油高がインフレを再燃させれば高金利環境が長引き、金利を生まない金には逆風となる。
実際、FRBのリサ・クック理事も直近のスタンスとして「目先は政策金利を据え置くべき」としつつも、関税、イラン情勢、そしてAI関連投資の急増がもたらす物価上昇圧力を警戒し、必要とあれば追加利上げも辞さない構えを見せている。市場の視線は、金融政策の次の一手を占う上で極めて重要な米個人消費支出(PCE)データに向けられている。
しかし、こうした足元の神経質なボラティリティに目を奪われると、より大きな潮流を見落とすことになる。ロックフェラー・グローバル・インベストメント・マネジメントのダグ・モグリアが主張するように、金は新たなコモディティサイクルの紛れもない「アンカー」であり、その長期的な強気相場(セキュラー・ブルマーケット)に綻びは見られない。
過去数年間、AIインフラの構築やエネルギー安全保障、サプライチェーンの国内回帰といった構造的な需要に対し、供給サイドの制約が重なることで、長らく放置されていたコモディティがポートフォリオの分散投資先として再び脚光を浴びている。中でも貴金属のパフォーマンスは群を抜いており、2025年初頭からの上昇率は金が92%、よりベータ値の高い銀に至っては152%と倍以上になった。
モグリアはこの現在地を、ブレトンウッズ体制の崩壊(1970年代初頭)や、ITバブル崩壊後に金が金融不安のヘッジとして台頭した時期(2000年代)に次ぐ、過去50年で3度目の巨大なレジームチェンジと位置づけている。今回の引き金となったのは2022年のロシア・ウクライナ戦争であり、より正確にはロシアの外貨準備に対する経済制裁という前例だ。
これに肝を冷やした各国の中央銀行は、ドルやユーロのシステムに依存する外貨準備がいかに政治的・法的なリスクに晒されやすいかを悟った。発行体リスクやカウンターパーティリスクを持たない究極のグローバルマクロ資産としての金が、このパラダイムシフトの最大の恩恵を受けたのは必然と言える。2022年から2024年にかけて、中央銀行は毎年1,000トン以上(年間世界の鉱山生産量の約20〜25%に相当)の金を買い漁った。この強烈な実需により、金価格は経済成長見通しや実質金利、ドル相場といった従来のシクリカルな変動要因から明らかに逸脱した動きを見せるようになる。
そして2025年、相場は新たなフェーズに入った。モグリアが「欧米の金融マネーへのバトンタッチ」と表現した通り、個人投資家の参入やETFを通じた資金流入が本格化したのだ。同年の中央銀行の純購入量は前年までの1000トン超えから863トンへと一服した一方で、世界の金ETFの保有高は約20%急増し、総計3,000トンを突破した。ドル安と投機的なモメンタムの流入が、銀やプラチナといった貴金属への動きをさらに増幅させたのがこの時期だ。
この主役の交代劇こそが、まさに足元で起きている乱高下の正体である。価格に頓着しない中央銀行の継続的な買いが強力な下値支持線(フロア)と上値抵抗線(シーリング)を切り上げる一方で、モメンタムを追うスピードの速い金融プレイヤーが市場の限界的な価格決定権を握ったことで、ボラティリティは必然的に高まっている。2026年1月下旬に見られた投機的レバレッジの蓄積による急激な価格の巻き戻しや、今回の地政学リスクに対する敏感な反応は、その典型的な症状だ。
モグリアの分析によれば、金価格は2027年に5,500ドルを突破し、2030年には1万ドルの大台に達する可能性があるという。その一方で、ここまでアウトパフォームしてきた銀の上値余地は次第に狭まっていくと見ている。現在約31%を占める中央銀行の金準備高が、いずれ世界のドル準備高(56%)に肩を並べる日が来るのか。市場のノイズに揺さぶられ、時に急激な調整を交えながらも、水面下では国家レベルの歴史的な資産シフトが静かに、だが確実に進行している。
Source: Market Hack
続きを読む>>最新情報